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### 21.Sep.2,012 ###


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フラッシュフォワード
ロバート・J・ソウヤー 早川書房
ハヤカワSF1342

つい先日まで某衛星放送局系で放映されていた同名TVドラマの原作。
ストーリーが地味だったためか、本国でもあまり人気はなかったらしく、
第2部の製作見込みも無いまま放送終了を迎えた。

TVドラマ同様、原作小説も地味なストーリーではある。
2,009年04月21日、ヒッグス粒子を検出するため、ヨーロッパ素粒子研究所(CERN)では、
スイス / フランス国境を跨いだ地下に設置された大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いて
大がかりな実験が行われようとしていた。
ところがLHCが起動した瞬間、地球全土の人類の意識が約2分程途絶え、
その間、21年後の自身の未来を垣間見てしまうという事件が起きてしまう。
未来とは、人々の自由意思や努力、選択等の結果ではないのか?
垣間見た21年後の未来は、変更しようの無い、確定した未来なのか?
それとも改変は可能なのだろうか?
より良い未来を求める努力と、未来を改変する努力を放棄した諦念の狭間で揺れながら、
人々はそれぞれ行動を開始する。

自殺等、未来視(ヴィジョン)とは明らかに異なる決定的事象を起すことで
未来は改変可能であるらしいと分かったものの、確証を得るには至らない。
過去同様、未来も確定していて、どう足掻こうとも結局ヴィジョンで見た未来に行き着くとしたら?
『ドラエもん』を引き合いに出すまでも無く、
誰しも一度くらい『未来を見てみたい』と思った事があるだろう。
そんな可愛い白昼夢も実は、運命を否応なく突きつけられる事と同義でもあった。
未来は不可知であるからこそ、人間は夢や希望が持てるのかも知れない
... などとガラにもなく想った。

原作には登場しないFBI捜査官を主人公に置き、フラッシュフォワードの原因究明や、
フラッシュフォワードを起した組織との対決を中心に据えたTVドラマ版も、
原作を読んでみると、アクション描写が派手ではあるものの、
SFドラマとして押さえるべきポイントはキチンと押さえており、
存外丁寧に作られていた事が判ったのも収穫であった。
READING PESOGIN
## 私が読んだのは、下の左側、カバー絵が古い方


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