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### 01.Sep.2,012 ###


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ルー = ガルー 忌避すべき狼
京極 夏彦 徳間書店

700ページ強という本の厚さに恐れをなして、放置し続けて10余年。
ガラにもなく一念発起して読んでみた。

舞台は近未来。 IT技術の発展は人同士のリアルな接触の機会を奪い、
幼少期の人間が対人コミュニケーションの方法を実践的に学ぶ場であった
学校も駆逐されていた。 子供ですら終日、家に引きこもり、
モニターを睨んでいれば済んでしまうような時代。
また、プライバシーの尊重が拡大解釈された結果、親子間の断絶も深刻で、
社会の最小構成単位である家庭も今日的な意味を無くしていた。
このような無味乾燥な社会においては友人を得る機会も少ないが、
近隣で発生した連続殺人事件に巻き込まれるかたちで
4人の少女が立ち上がる。 果たして真犯人の目的は ... ?

本の重さと、ところどころに開陳される著者のウンチクやら
哲学に閉口したものの、存外スンナリと読了できた。
京極夏彦氏の作品を拝読したのは初めてであったが、
とても楽しめた。

本書のエンディングには釈然としないものを感じるが、
本作品の続編も発表済みとのことなので、
そちらも近日中に拝読したいと思う。
主人公である牧野葉月は、この物語で描かれた未来社会の
代表的パーソナリティーの持ち主であり、
あの社会が内包する問題点や矛盾といったもののイコンなのだろう。
続編では、彼女の成長が描かれることを期待する。
それはとりもなおさず、物語で描かれた未来社会の変化を象徴し、
物語の『救い』になるはずだから。
READING PESOGIN
## 物語の途中に時々挿入されるガ○ラ・ネタのおかげで、
## 妙に『平成ガメ○』シリーズが観たくなってしまって困った


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