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### 15.Dec.2,011 ###


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訃報から - II
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各種メディアで再三報じられたので皆様も御承知かとは存じますが、
去る7月26日16:36、日本SF界の重鎮である作家、小松 左京氏が
銀河の彼方に旅立たれました。 享年80歳。 衷心より御冥福をお祈り致します。
* * *
星 新一氏、筒井 康隆氏と共に『日本SF界の御三家』と呼ばれた
小松 左京氏の作品を初めて拝読したのは中学校に上がった頃。
御想像どおり“日本沈没”(カッパ・ブックス版、上/下2巻)でした。
中学生にはまだ難しい作品ではありましたが、作中に描かれた、
未曾有の危機に直面した日本民族の官民一体のダイナミズムに感動すると共に、
現実の日本の政府機関の危機管理能力に少なからぬ疑問を抱いた問題作でありました。
同書は400万部のベスト・セラーになり、直後に映画 / TV ドラマ化もされましたが、
映画版はともかく、TV ドラマ版は特撮が陳腐で、しかも田所博士の描写が、
原作とはかけ離れた只のマッド・サイエンティストにしか見えなかったのに辟易して、
殆ど観ませんでした。
(周囲には TV版を毎週欠かさず観ていた御仁も少なからずいましたが ... )
TV版の演出家がSF小説を“キワモノ”としか捉えていなかったのでしょうね、きっと。

次に忘れられない作品が“さよならジュピター”でしょうか。
1,982年の暮れ、米国に留学する前夜、たまたま立ち寄った東京・池袋の
とある路地裏の小さな書店の棚に平積みになっていたのを偶然発見。
上下2巻を買い求め、そのまま出国。 かの地で故国を偲びつつ、
1ページ毎に噛み締めるように読んだ思い出深い作品です。
太陽系に侵入してきたマイクロ・ブラックホールが太陽を直撃するという設定が
いささか無理というか、天文学上の確立論的にありえそうな事象とは思われないものの、
物語としては楽しめました。 事実、小説版は1,983年の星雲賞・日本長編部門賞を
受賞していたそうで、マニアの間では高く評価されていたと断言して差し支え無いでしょう。
この作品は映画化を前提とした作品であり、小説は映画の初稿脚本を元に、
原作者である小松 左京氏御自身がノベライズしたものだそうで、
1,984年には映画版も公開されたものの、映画の尺では小説に込められた
イマジネーションを充分に受け止める事ができなかったのか、巷間では劇中冒頭の
主人公・三浦友和と恋人役のディアンヌ・ダンジェリーの『無重力 Make Love』
シーンばかりが喧伝されるばかりで、興行的には大失敗に終わったそうです。
個人的には、“2,001年宇宙の旅”や“STAR WARS”等を意識し過ぎた作り手の
『熱意のカラ廻り』が原因だと思っています。 それ以前に、映画化の予算が
少な過ぎた(総制作費は10億円程だったらしい)のが最大の原因かも知れません。

その他、“復活の日”や“果てしなき流れの果てに”、“首都消失”、“物体O”、
朝日新聞に連載された“こちらニッポン”等、忘れられない作品は多々あるものの、
新作の発表がなかった事もあり、不義理なことに最近は氏の作品から遠ざかっていました。
せめて谷 甲州氏と共著名義の“日本沈没 第2部”を紐解いて、
文字通り巨星となられた氏を偲んでみたいと思います。

そういえば“ひょっこりひょうたん島”の後番組として
NHKで放送された人形劇 “空中都市008”(原題・アオゾラ市の物語)や、
松本 零士氏がコミカライズした“模型の時代”も、原作は小松 左京氏でした。
氏の原作とは知らずに観たり読んだりした作品も結構あることでしょう。

2,001年のSF大会々場でお見かけした氏のお姿が、
今も忘れられない思い出となりました。

READING PESOGIN
## 調べてみると、絶版になっている作品も結構あるようだ。
## いずれは再版されるとは思うのだが ...
## 読むべき作品はまだまだあることだろうが、とりあえず
## 自分が読んだ作品の内のいくつかを御紹介しておこう。


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