Bookshelf TOP MENU に戻る
Bookshelf '11年 TOPPAGE に戻る

### Recent UPDATE ###
### 15.Dec.2,011 ###


REVIEW 11-003へ REVIEW 11-004 REVIEW 11-005へ

ライトニングが消える日
ジャン・マーク パロル舎

*** 1,976年カーネギー賞受賞作品 ***
本書を手にとったのは、全くの偶然であった。
タイトルにある“ライトニング”とは何ぞや?
『雷』?『ロッキード P-38』? まさか『BAC ライトニング』 ... !?

カバー絵の隅に描かれた、カリカチュアライズされた『BAC ライトニング』を見れば、
タイトルの『ライトニング』が英国空軍の『BAC ライトニング』を指すものとの
見当はついたが、書籍のテーマまでは確認せずに本書を手に取っていた。
読み始めて初めて、本書がいわゆる児童文学書であることに気が付く始末。
妙な先入観無しに読破まで漕ぎ着けたのは、“怪我の功名”であろうか。

父親の転勤(転職、あるいは趣味?)の都合で、
ノーフォークの片田舎に引っ越してきた、主人公アンドルー少年の一家。
新居がたまたま空軍機の航路の真下だったことから、隣家に住む
クラスメートで飛行機ヲタクのヴィクター少年との友情が芽生え始める。
まもなく退役する運命にある『BAC ライトニング』を軸に、
ふたりの少年が過ごした数ヶ月間を淡々と描いた作品。

ストーリーに大した起伏がある訳でもなく、
描かれているのは少年にありがちな日常の描写のみ。
されどどこか懐かしく、読了感は切なく、甘酸っぱい。
大人に取っては些細な事でも、子供にとっては大問題であった
“あの頃”がふと脳裏に蘇ったようだ。
ヴィクター少年にとってのBAC ライトニングが、私がF-86Fなどに抱いた
イメージやノスタルジーと重なって、より深く共感してしまったらしい。
F-86FやF-104Jを友人と追いかけた、“あの頃”が懐かしく思い出された。
その友も一昨年物故し、今はもう居ない。 寂しいものだ。

児童文学書を嗜むには少々齢を重ね過ぎたようだが、
それでも甘酸っぱいノスタルジーに浸ることができたのが最大の収穫であった。
READING PESOGIN
## 英国が独力で開発した超音速迎撃機ライトニングが、
## 英仏共同開発のジャギュアにリプレースされる様子は
## 大英帝国の落日を象徴しているかのようで、
## 作中にも描かれた“救国の戦闘機”スピットファイアとの対比は物悲しい。

## この作品、宮崎駿さんがアニメ化したら
## 面白い作品になりそうな気がする。

REVIEW 11-003 へ REVIEW 11-004 REVIEW 11-005 へ

Bookshelf '11年 TOPPAGE に戻る
Bookshelf TOP MENU に戻る