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### 24.Dec.2,011 ###
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REVIEW 10-035 |
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今年も残すところあと2ヶ月となり、自分の読書歴を振り返ってみると、
冊数はやや少ないものの、軟らかい作品に混じってノンフィクション系の
結構ハードな作品も読破してきたように思う。 自画自賛とも云う。
正直、息が切れたのも事実で、あとはソフトなものを読んでいこうかと思っている。
その第一弾、という訳でもないが、たまたま手にしたのが本書。
十数年ぶりの再読で、内容は殆ど憶えていなかった。
夢枕 獏氏といえば、“サイコ・ダイバー”シリーズ等に代表される
エロス - バイオレンス系の作家だと、私は思い込んでいた。
ところが“上弦の月を喰べる獅子”や“猫弾きのオルオラネ”等を読破し、
それは偏見であると知った。
闇が魑魅魍魎の跋扈する漆黒の闇であり、人と人外の妖かしが
背中あわせに暮らしていたであろう平安時代を舞台にした本作品は、
どちらかと言えばホラーやエロス寄りの作品かもしれない。
おどろおどろしい描写も確かにあるが、それ以上に、主人公である
陰陽師:安部清明と、彼の友である謹厳実直を絵に描いたような
武士:源博雅の掛け合い漫才 ... いやいやいや、哲学問答が興味深かった。
人が人外の鬼に墜ちるには、それなりのもつれた理由がある。
それを陰陽師・安部清明と武士・源博雅の名コンビがいかに解きほぐし、
収めていったか、その顛末は御自分で楽しんで頂きたい。
続編も発表されているようなので、機会があればそちらも読んでみたいものだ。
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REVIEW 10-035 |
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