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### 24.Dec.2,011 ###
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REVIEW 10-029 |
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アンチ・マジカル 〜魔法少女禁止法〜
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伊藤ヒロ
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一迅社文庫
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本書を知ったのは偶然だった。
たまたま目にした『SFマガジン』誌の書評欄の記事で興味を引かれたのだ。
巻末の“あとがき”で著者自身が仄めかしているとおり、
本作品は、アメリカン・コミックスの雄“DC コミックス”に連載され、
近年映画化もされた“ウオッチメン”を下敷きにした
オマージュ・ストーリーであるらしい。
残念ながらコミックス版はおろか映画版も未見なので、
その点に関して語る資格は私には無い。
日本の少女達の夢のひとつ、選ばれし少女のみに許される存在である
“魔法少女”が実在する世界。
彼女達の活躍に拠り、異世界からの侵略を退けたものの、
それは同時に彼女達の存在理由をも奪ってしまった。
人智の及ばない力“魔法”を厭うた人類は、法律で魔法少女の存在を禁じ、
魔法少女としての活動を非合法化してしまう。
戦うべき対象を失ったある魔法少女は自我崩壊を起こして入院し、
また多くの魔法少女達は自らのマジック・アイテムを封印することで
日常生活に戻っていった。
そんな風潮の中、自らの正義感に従って魔法少女活動を止めない少女がいた。
法の光の届かない夜の闇のなか、悪人狩りを続ける“最後の魔法少女”。
危ういところを彼女に助けられた主人公“佐倉慎壱”は、
隣家の幼馴染の姉の遺品であるマジック・アイテムの力を借りて
“女装の魔法少年”に変身。 無理やり“最後の魔法少女”に弟子入りし、
“魔法少女の弟子 = 魔法少女サクラ”として
“最後の魔法少女”と行動を供にすることになる。
そんな折、かつての魔法少女仲間が、事故に見せかけて惨殺される事件が ...
日本のサブ・カルチャーのメイン・ストリームのひとつであり、
リアルな少女たちとかつての少女たちの夢である“魔法少女”を、
上手にアメ・コミのフォーマットに落とし込んだ作品であり、
元ネタである“ウオッチメン”を知らないながらも楽しめた。
脳天気なキャラクターたちと殺伐としたストーリーの落差が大きいこともあり、
ライト・ノヴェルのなかでも読み手を選ぶ作品ではあろうが、
ミュータント・テーマ SF としても興味深い作品ではある。
明言はされていないが、本作品はプロローグ篇といった趣で、
続編の発表を期待している。
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## こうしてみれば“魔法少女”も
## ミュータント・テーマのヴァリエーションなんだよなあ ...
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REVIEW 10-029 |
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