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旅立つマリニア
栗本 薫 早川書房
ハヤカワ文庫 JA919

*** グイン・サーガ # 120 ***
『旅立つマリニア』 ... まさにタイトルどおりの1篇。

パロの古代機械による、有無をも言わせぬ記憶操作の結果、グインの無くした記憶は甦った。
その代わり、パロの内乱の元凶であったアモン太子との決戦以降の記憶を消去されてしまう。
いや、古代機械にバックアップされていた記憶で上書きされたため、
パロの内戦以降のなけなしの記憶が消されてしまったのだろうか。
結果、タイスの“青のドーカス”、“白のマーロール”やバラキアの“ブラン”はおろか、
供に旅をしてきた“フロリー”と、あれほど可愛がった“スーティ”との絆さえ忘れてしまうグイン。
グインとの絆を無くし、パロの王子であるマリウスへの遠慮と
スーティの存在が国際政治に及ぼす影響を鑑み、食客としてパロに滞在するを潔しとせず。
ついにミロク教の聖地ヤガへの出立を決意するフロリーさんであった。

旅立つフロリーさんとリンダ女王の、別れ際のガールズ・トークを立ち聞きしてしまう
マリウス君、とりあえずは落ち着くべきところに暫くは落ち着きそうで、その点では安心か。
ただ、プレイ・ボーイは別れも鮮やかで、その器用さに羨望を憶えたり。
やっぱりこの世界でも、『不倫は文化』なんだろうなあ。
フロリーさんとも、これで暫くお別れか。 寂しいなあ。

『グイン・サーガ』には巻頭以来、今だ解明されざる大きな謎がいくつもある。
その最たるものはもちろん『グインの存在』そのものだが、
他にも『パロの古代機械』あり、『キタイという国のありさま』あり、
『ノスフェラスの成り立ち』や『ノスフェラスの中心であるグル・ヌー』など、
いくらでも思いつくが、ここに来て遂に『ミロク教』にスポットが当たることになりそうな。
思えば、ルードの森に跳ばされたパロの真珠たちが文明社会に復帰した頃から、
バックグラウンドをうろちょろしていた『ミロクの巡礼』だが、教団の具体的な内情はおろか
その教義内容すら語られる事が無かった『ミロク教』。 その闇の深さはいかばかりか。
またひとつ、『サーガ』の冒頭から張られた伏線のひとつが解き明かされようとしているのだなあ。

グインらと旅をしながら、それらのひとつひとつを解き明かしてゆくのが
この『サーガ』の醍醐味であったと思っている。
残り10巻で、残された謎がどれだけ解明されるのか、
それが楽しみであり、心配でもある。
READING PESOGIN

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