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ランドックの刻印
栗本 薫 早川書房
ハヤカワ文庫 JA915

*** グイン・サーガ # 119 ***
カバー絵は、なにやら未来的な機械を背にしたマッド・サイエンティストハンサム・ガイの図。
パロの古代機械を操作するヨナ博士、いや、在りし日のアルド・ナリスその人の肖像だろうか。

さて、やっとの思いでたどり着いたパロで養生するグイン。
クムの英雄ガンダルとの決戦で負った左腕の傷こそ治りつつあるものの、
記憶障害のほうの治療はさっぱり目途もつかぬ有り様。
そうこうしている間に、ケイロニアの国元からは、失踪した王を迎えるための
大使節団がパロの首都クリスタルに入ってしまう。
パロの進んだ医療技術でも、グインの記憶障害の治療は遂にお手上げとなり、
最後のショック療法のつもりで、完全に機能を停止したパロの古代機械と対面する、
古代機械の“グランド・マスター”グイン。 そこで ...

パロの内乱と、内乱の元凶であったアモン太子との決戦。
結果、グインは、ルードの森に現れてから、ケイロニアの王に即位して活躍するまでの
一切の記憶を失ってノスフェラスに出現し、イシュトバーンと戦い、アルゴスの鷹と出会い、
山火事に追われ、マリウスと再会し、偶然出会ったフロリー母子を伴って、
パロの聖騎士リギアともども、失った記憶の回復の為にパロを目指したのだが、
その旅もこの巻で一応の終着を得たらしい。

そしてまた、ヨナ博士の口を借りて語られる、この長いサーガの終焉の予感。
母星であるランドックの操り人形同然の存在に過ぎないグインが、自分自身を取り戻し、
自らの自由を勝ち取るために、いつかランドックに旅立つであろう、というものだ。
“グイン・サーガ後伝”となったであろうそのストーリーも、もう読むことは叶わない。
それが悲しい。
*** 追記 ***
2,007年12月08日付けで認められた巻末の“あとがき”。
自らの、ここしばらくの体調不良の原因が、下部胆管癌であったことを報告されている。
乳癌の闘病時期でさえポジティブであった“栗本 薫”らしからぬ、
ちょっと暗いトーンで綴られた“あとがき”には、
初めて洩らしたであろう御自身の弱音が見え隠れして、驚く。
そして、この“あとがき”のおよそ1年半後には他界されるのだが、
この頃にはもう、自らの死期を悟ってみえたのだろうか ...
改めて御冥福をお祈り致します。
READING PESOGIN

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