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### 26.Dec.2,011 ###


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もう一つの王国
栗本 薫 早川書房
ハヤカワ文庫

*** グイン・サーガ # 113 ***
グイン様御一行漫遊記・クム篇 - その5

今回は何を書いてもネタバラシになりそうなので、少々アプローチを変えてみよう。
舞台であるタイスについて、整理してみる。

これは“クム篇”に突入して以来、本編で再三説明されていたことだが、
“中原の中の海”こと“オロイ湖”は、実はカルデラ湖である。
地下に溜まった大量のマグマ。 これが地表の重量を支えている。
このマグマが噴火などで抜け、地下のマグマ溜まりが空洞となり、
地表の重量を支えるものが無くなった時、地表が陥没。
できた窪地に水が溜まったのがカルデラ湖である。

カルデラ湖であるオロイ湖の岸辺にあるタイスは、
その昔に火口から噴出した溶岩等の堆積物の上に築かれた街で、
市街地の下にある大地の中には火山性の風穴が無数に現存している。
風穴に地下水が流れ込んで天然の水路と化し、中にはオロイ湖に至るものもある、
いや、遥かキタイにまで通じる穴すらあると噂されるが、その全貌を識る者はいない。
水路があまりにも多く複雑すぎるのと、
凶暴な野獣等が水路内に棲みついていて危険な為である。
これらの水路の一部はタイスの支配者の住まいである紅鶴城の下にもあり、
時の権力者達が水牢として利用している。
水牢に落とされて処刑された犠牲者は数知れず。
恨みを呑んで死んでいった者の中には成仏できなかった者も多く、
生者を黄泉の国に引きずり込まんとする亡者もあるらしい。
これがタイスの地勢である。

さて、第113巻。
時はタイスの水神祭り前夜。
クムの英雄的剣闘士“ガンダル”、ついにタイスに来る。
機動歩兵か機動戦士、あるいはダース・ヴェイダーかと見紛うばかりの出で立ちで、
タイスの紅鶴城内、水神祭り前夜祭宴会場に登場。
“旅芸人グント”こと“豹頭王グイン”を挑発せんと、
抱え上げたリギア様をブン投げるなど、絵に描いたような悪役ぶりである。
このまま“天下一武闘会・イン・タイス”に突入かと思ったら ...

いやあ、引っ張ること、引っ張ること。
これでクム - タイス篇も5冊め。
物語の上での時間経過は2週間程度だろうが、
読者にしてみればリアルタイムで2年目に突入した頃だろう。
ほぼ全巻揃えた上で読んでいるのでそれほどではないが、
出版される毎にリアルタイムで読んでいたら、泣きたくなったことだろう。

ヒロイック・ファンタジーの御約束である悪霊退治あり、
思わぬところで“白のマーロール”も再登場した事だし、
これでいよいよ“天下一武闘会・イン・タイス”突入 ... ともいかないようだ。
次はまるまる1冊“フロリーさん受難の巻”。
彼女のファンにはあまりありがたくない一篇である。

もう少し我慢して、つきあおう。
## パロはまだか ... パロはまだ遠いのか ... !!
READING PESOGIN

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