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### 26.Dec.2,011 ###


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闘王
栗本 薫 早川書房
ハヤカワ文庫

*** グイン・サーガ # 112 ***
グイン様御一行漫遊記・クム篇 - その4

前巻とはうって変わって、むくつけき髭面のおっさんがカバー絵。
逞しい左腕に賢そうな子供を抱いている。
本の売上げがガタっと落ちそうな絵柄だが、
これが謎の元傭兵スイランとスーティの肖像なのだ。

さて、第112巻。
その意に反し“タイスの4剣士”全員を退けてしまい、
タイスの“闘王”の称号を賜ってしまった“旅芸人グント”こと“豹頭王グイン”。
“タイス”の酷薄な支配者“タイ・ソン伯爵”はいよいよ熱狂し、
クムの英雄的剣闘士“ガンダル”を今年こそ打ち負かさんと“グント”を放さぬ。
タイスからの脱出がますます困難になる一行であった。

前巻に引き続き、本巻もまた“天下一武闘会・イン・タイス/前哨戦”といった趣の一冊で、
この流れは暫く続くと思われる。 パロへの旅路は遠いが、楽しもう。

“白のマーロール”は冒頭で負傷退場。 再登場は遠くないだろう。
“マーロール”との決闘に続くエピソード、“グイン”対“タイスの4剣士”のひとり、
“青のドーカス・ドルエン”のリターン・マッチの件は短いながらも読み応えがあった。
ミロク教徒でありながら生業が剣闘士という
 (生業が罪深い剣闘士だからこそミロク教に帰依したのかも知れないが)、
ある意味アンビバレントなキャラクターだが、“豹頭王グイン”に剣を捧げ、
篤い忠誠を誓う剣士が、本気で“グイン”との再戦に臨むのである。
どうか最後まで生き残って、“豹頭王”に誘われるがまま、
サイロンに落ち延びて頂きたいものだ。

そして第3話で、遂に元傭兵スイランの正体とその目的が曝される。
著者も『あとがき』で触れているが、たしかに第3話『脱出』は、胸が熱くなる一篇である。
やや御都合主義的な薫りがしないでもないが、そこは『御約束』というものだろう。
タイスからの脱出はいよいよ困難な情勢だが、
願わくばフロリー母子に安息の日々が訪れんことを。
READING PESOGIN
著者の急逝の報を耳にして、供養のつもりで未読分を読み始めた『グイン・サーガ』も
これで10冊め。 その間に新刊が2冊リリースされ、残す新刊は第129巻のみか。
御遺族の談話では、この冬に第130巻が出るとのことだが ...
途中、絶筆で終わるのだろう。 辛いなあ。
第129巻がリリースされる前に、なんとか第128巻まで追いつきたいと、
意地になって読んでいる。 少々疲れたが、これも供養だ。 がんばろう。

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