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### 26.Dec.2,011 ###


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豹頭王の挑戦
栗本 薫 早川書房
ハヤカワ文庫

*** グイン・サーガ # 109 ***
グイン様御一行漫遊記・クム篇。

前巻エンディングの『地獄のひき』から一変、今回のストーリーは『ほのぼの』系。
この遠大なるサーガの中でも1,2を争う(?)『なべてこの世は事も無し』な
ストーリーではないだろうか。 マリウス君も生き生きとしてくるし、
読んでいる方もなにやら楽しくなってくる一篇である。

ただし、騒動の種はしっかり孕んでいるようだ。 ストーリーに突然乱入し、
『マリウス一座』にちゃっかり潜りこんだ元傭兵スイランの正体は ... ?
それは近刊で明かされることだろうが、グインの見立てでは、
彼の剣技の腕前はイシュトヴァーンのそれに匹敵するようだ、
とのことなので、恐らくは名の有る剣士の仮の姿ではあるのだろう。

『瓢箪から駒』な展開から、本人が別人に化け、本物のふりをする偽物を演じる、
というプロットは、エドモンド・ハミルトンの『キャプテン・フューチャー』シリーズでも
読んだ気がするが、派手な興行が仇となって、クムの大都市タイスを預かる
タイス伯爵に召し出された一行の運命やいかに。
それこそがタイトルにある『挑戦』の意味なのだろう。

それともう一つ。 このサーガの冒頭より、バック・グラウンドで動くプロセスのように
『ミロクの巡礼』がそこかしこで、影のごとく静かにウロチョロしていたものだが、
ここにきてミロク教徒の動きが活性化してきたかのようだ。
この伏線は第125巻前後あたりで表面化するようだが、その結末を読むことは叶うのだろうか。
いまさら繰言ではあるが、せめてその結末だけはキッチリと描いて頂きたかったものだ。
断腸の思いである。
*** 追記 ***
フロリーさん、どうもマリウス君への傾斜の度合いが進行しているようで、
彼女のファンとしては少々面白くない描写があった事は明記しておこう。
READING PESOGIN

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