マンガの感想なぞ書く気もなかったし、書くべきでも無いと承知しているが、
ここにしか記すスペースを設けていないので、どうかご容赦頂きたい。
手塚 治虫の『鉄腕アトム』が、ディズニーの『ピノキオ』に
インスパイアされて生まれた作品であることは有名だ。
対する石ノ森 章太郎の『キカイダー』もまた、
『ピノキオ』を下敷きにして生まれた作品であることは明らかだ。
『鉄腕アトム』に比肩する作品が、新しい作家の下でどう生まれ変わるのか。
どれほど私の期待が大きかったか、どうか忖度賜りたい。
故石ノ森章太郎氏の熱烈なファン、とは決して名乗れない私だが、
“キカイダー”だけは別である。
人間に憧れるヒーロー“キカイダー / ジロー”の背負う悲しみと、
フランケン・コンプレックスに突き動かされた悪役“ハカイダー”の
強烈な印象を忘れることはできなかった。
それだけに、MEIMUが描くリメイク版は期待したのだが ...
本作品の感想を一言で述べるなら『失望』であろう。
同情できるポイントも多々ある。
掲載誌が次々と休刊の憂き目にあい、長い中断を余儀なくされたこと。
度重なる掲載誌の変更で、固定読者の獲得が難しかったこと。
掲載誌が4度も変わったにもかかわらず、
よく完結できたものだと褒めるべきなのかも知れないが。
固定読者を獲得できなかった故の評判の低迷からだろう、
連載を打ち切らせる為に、いかにも完結させましたという
オトナの都合が見え見えで悲しくなる。
エンディングは支離滅裂で、それまでののストーリーとの整合性に
乏しいと断じざるを得ない。
逆境に負けず、曲がりなりにもストーリーを完結させた努力に賞賛を惜しまないが、
期待が大きかっただけに、失望もまた深いのであった。
MEIMUの絵は、直立したキャラクターはまだ見られるがポージングが下手。
特にアクションシーンで、それが顕著になる。
跳んだり走ったりのアクション・シーンの絵は見られたものでは無い。
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