かつて、こんな言葉を聞いたことがある。
アイザック・アシモフだったか、アーサー・C・クラークの言葉だったかは
忘れたが、近年、特にその境界線が曖昧になりつつあった
SFとファンタジー小説を識別 / 分類するための一家言である。
『ひょっとすると近未来に実現するかもしれないが、
実現したら怖いよね ... という作品がSF。
どう考えても実現しそうにはないのだが、
実現したら楽しいよね ... という作品がファンタジー。』
その意味では『とてもSFらしくない』作品であった。
本書を読むのは確か3度目だと思うが、
これまたストーリーを忘れてしまっていたため、
新鮮な気分で読み返すことができた。
ストーリーが少々難解だったとの印象だけが残っていたが、
登場人物名や組織名に馴染めなかっただけで、
ストーリー自体はそれほど追い難いものではなかった。
未読の方に配慮して詳述は避けるが、分類するならば、
本書のテーマは『ファースト・コンタクト』であろう。
そこに重要な役割を果たすのが、希代の心霊術師にして
イカサマ師のチームというのが楽しい。
J.P.ホーガンの作品はいずれも『ハード SF』でありながら、
ハッピー・エンドを迎えることが多いようで、
ある意味『SF らしからぬ』作品群と表現しても良いかもしれない。
未読の方は是非御一読を。
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