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### 27.Dec.2,011 ###


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零式戦闘機
柳田 邦男 文藝春秋

私がまだ学生だった頃、大阪・梅田駅の裏手に拡がる
カッパ横丁の古本屋街に偶然、迷い込んだ事があった。
そのときに入手した1冊が本書である。
以来20余年、積読したまま忘れていた。

いや、零戦に関する研究書やドキュメントはその後も繰り返し
出版され続け、そのうちのいくつかを読むうちに、
1,977年出版の本書を読むきっかけを失ってしまった
... といったところだろうか。

30年近くも前に出版された書籍を今更、とも思ったが、
著者があの『柳田 邦男』氏である。
ノン・フィクション部門の重鎮であるが、
いわゆる軍事評論家では無い(でしょ?)彼が、
どのような切り口で『零戦』を読ませてくれるのか。
一種不純な興味を覚え、読み始めてみた。

太平洋戦争開戦前夜から敗戦まで、日本帝国海軍の
主力戦闘機として君臨した『零式戦闘機』は、
自身が好むと好まざるとに係わらず、太平洋戦争のシンボルの一つとして
語られる運命を背負わされてしまった。
その代表作のひとつが、吉村 昭氏の小説『零式戦闘機』であろう。
本書は、その対極にある。 純然たる国産戦闘機開発につながる
ストーリーに焦点を絞ったノンフィクションである。
もともとは昭和51年に、一年弱に渡って『週刊文春』誌上に
連載された作品をまとめたものであるだけに、
一般読者を対象としているのであろう、表現は平易である。
それだけに少々喰い足りない部分があることは否めないが、
逆に言うと“気楽に読める”作品であるのかも知れない。

本作品の姉妹編である『零戦燃ゆ』は未読なのではっきりしないが、
こちらは零戦の運用に関する作品なのかもしれない。
戦記のほうに興味のある方には、そちらのほうがお薦めかも。


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