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### 27.Dec.2,011 ###


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六番目の小夜子
恩田 陸 著 新潮社
新潮文庫

### 恩田 陸 作家デヴュー作品 ###
1,992年07月に新潮文庫ファンタジー・ノベル・シリーズの1冊として
発表されたものの、すぐに絶版となった『幻』の作品。
その後、大幅に加筆された上で1,998年08月に単行本化されたもの。

2,3年程前に NHK から放映された TV ドラマ 『六番目の小夜子』 の原作。
かつて NHK で放送されていた“少年ドラマシリーズ”への
オマージュとして書かれたものだけに、まさにドラマの原作には
うってつけの作品であったことだろう。

演出上の都合だろう、ドラマの設定は、原作から若干の変更をされているようだ。
ある意味でプリミティブな原作と、設定に追加のあるドラマでは
好みが分かれるところだろう。 主役の女優ふたりの好演が光る
TVドラマ版も捨てがたいが、やはり一度は原作を読んで貰いたいものだ。
映像の力を軽んじるつもりはないが、映像からでは読み取ることが
難しい部分までも楽しむ事ができるのだから。

地方のとある進学校には、『サヨコ』と呼ばれる奇妙なしきたりが連綿と息づいていた。
前の年の『サヨコ』から指名された一人の学生が、『サヨコ』と呼ばれる存在を引継ぎ、
続く1年の間、秘密裏に『サヨコ』を演じるのだ。
『サヨコ』が行動を起すのは3年に一度。 その年は『サヨコの年』と呼ばれる。
その『サヨコの年』に、沙世子という名の美少女が転校してきたことから、
このオカルトチックな謎めいた物語は始まる ...
つまるところ、『サヨコ』とは誰(あえて“誰”と問おう)だったのか。
その答えは各自で探して欲しい。
少年と呼ばれるほどには幼くもなく、青年と呼ばれるには繊細過ぎる、
誰もが経験したあの短く微妙な時期を追体験することができる作品であった。
優れた作品に野暮な論評は不要であろう。 

もし貴方が、“時をかける少女”や“つぶやき岩の秘密”、
“暁はただ銀色”等の『NHK 少年ドラマシリーズ』をリアルタイムで
体験したクチであれば、是非読んで頂きたい逸品である。
ブラウン管の前で胸をときめかせたあの頃を、きっと思い出せるはずだから。


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