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### 27.Dec.2,011 ###
REVIEW 07-023
シックス・ボルト III 神野 オキナ メディアワークス
電撃文庫
超常能力者『聖痕者』の登場する“ガンパレード・マーチ”といった趣の、
“シックス・ボルト”シリーズ第3巻。物語は、日本初の『聖痕者』と、異星人『権利者』により
“ブルー・ブラッド”として強制再生されたヒロイン
“もうひとりの氷香”の逃避行の顛末から始まる。地下限定戦争の戦死者の遺体を基に、異星人『権利者』によって造られた
地球人のクローンが“ブルー・ブラッド”である。 地上では既に、
地球陣営が再生させた戦死者のクローン体(俗称“来世”)が生活していることから、
『権利者』側から脱走した“ブルー・ブラッド”達は行き場所が無い。
地球人のクローン体でありながら、地球人に狩られる立場の
“ブルー・ブラッド”達は、自らの生存のために脱出を開始した ...
というのが前巻のストーリー。脱出、と云うが、では地上に彼らが安全に暮らせる場所があるのか?
一番簡単なのは、“ブルー・ブラッド”がこっそり“来世”と入れ替わることだろうが、
それに関する記述は無かった。 あるいは次巻への伏線か?たとえ『管理者』の監視の下とはいえ、地下限定戦争は『権利者』による
ハンディキャップ戦であるし(本戦前の予備戦、練習という設定ではあるが)、
その結果として地球陣営に出現した『聖痕者』は、『権利者』にとって
脅威であるはずなのに、『権利者』は何の手も打とうとはしていない。
そればかりか、脱走した“ブルー・ブラッド”の処理を地球側に依頼してくるていたらく。
これが伏線だとしたら、行き着くところは“人類の進化の促進”であり、
地下戦争は“進化”を促すための手段で、只の茶番であった、といったところか。大体、人体のクローン培養が可能なら、『聖痕者』のクローン体を量産し、
適当にでっち上げた記憶をインストールして戦闘に参加させれば良い。
(この場合、『管理者』による何らかの罰則規定が定められてはいるだろうし ...
これも伏線? 『聖痕者』専用のパワード・スーツが起動できなくなったのも、
これに関係があるのだろう)さらに話を進めれば、クローンを造れるほど遺伝子工学が進んでいるのなら、
人類の遺伝子と『権利者』の戦闘体の遺伝子を数値化、
データ化して計算機に入力。 演算素子内で戦闘を行わせれば済むではないのか?
クローン体に記憶の再インストールが可能(という設定)なら、
それくらいの芸当は充分可能だと思うが。
それにしても、記憶と心は似て非なるものだと思う。
その点を著者はどう考えているのだろう?つっこみどころは一杯あるが、第3巻まで付き合ったら、妙な愛着が湧いてきた。
明言は無いものの、おそらく続刊も出てくるだろう。
おそらくは『聖痕者』と『聖痕者』の非合法クローン体との激突、
そして『聖痕者』と“もうひとりの氷香”の再会等が軸となるだろう。
なんとなく先が読めてしまったような気もするものの、続巻も読んでみるつもりだ。
良い意味で読者を裏切るのが作家の『力量』というものである。
小賢しい読者の先読みをどう裏切って下さるか楽しみだ。校正の時間が不足していたのか、本書は誤字脱字が目立ったことを
最後に書き添えておく。 著者はショボい FEP(とは最近は言わないか ...)を
お使いなのだろうか?
REVIEW 07-023
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