Bookshelf TOP MENU に戻る
Bookshelf 07年 TOPPAGE に戻る

### Recent UPDATED ###
### 27.Dec.2,011 ###


REVIEW 07-007 へ REVIEW 07-008 REVIEW 07-009 へ

2等空士物語
吉岡 平 朝日ソノラマ文庫

るりあ046 氏描くところのカバー・イラストに釣られて購入。
ある意味、身につまされるストーリーであった。

『空』に憧れ、航空機に関係する職を求めて航空自衛隊に入隊した
『天馬 吾渡夢 (てんま あとむ)』は19歳の2等空士。
しかし、彼が配属されたのは、滑走路の『か』の字も、航空機の
『こ』の字すらも無い某県の離島、胤島のレーダー・サイトだった。
離島ならではの静かな毎日が続く筈だった。
しかし、ある日、胤島の近海で突然、某国海軍初の原子力潜水艦
『シルラ』 が一方的に攻撃を開始したことから、静かな弧島は戦場と化した。
胤島唯一の軍事基地、レーダー・サイトには小銃すら満足に無い。
果たして胤島の運命は ... ?
... などと煽ると、とてもシリアスな作品に思われるかも知れませんが、
そんな事はありません。 ライト・ノベルの王道を行く、
気軽に楽しめる一品です。 ただ、エンターティメントに徹した
作品ではありますが、終盤、吾渡夢2士の立身出世ストーリーに
堕してしまったように感じられ、少々興が削がれたのは残念ではあります。

最後に指摘をひとつ。 単純な誤植なのかもしれませんが、
婦人航空自衛官は“WAFF”ではありません。(P.239 参照)
正確には“Women in the Air Force / W.A.F. = ワッフ”だと思うのですが ... ?
ちなみに W.A.F. の W は既に複数形ですので、
W.A.F. が二人以上いても W.A.F.s = わっブス とはならないそうです。
また、作中、海上自衛隊の P-3C と航空自衛隊の F-2 が直接、無線通信を
交わすシーンがありましたが、実際にそんなことが可能なのでしょうか?
 (ガード・チャンネルは万国共通でしょうけど ...)
御巣鷹山の日航機墜落事件の時など、航空自衛隊、陸上自衛隊、
地元警察など関係諸機関との間の連絡の悪さが指摘されていたのが、
いまだに記憶に鮮明なところなので、フィクションの事は言え、
少々気になります。


REVIEW 07-007 へ REVIEW 07-008 REVIEW 07-009 へ

Bookshelf 07年 TOPPAGE に戻る
Bookshelf TOP MENU に戻る