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### 27.Dec.2,011 ###


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終わりなき平和
ジョー・ホールドマン 東京創元社
創元SF文庫

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1,998年度 ヒューゴー賞/ネビュラ賞/キャンベル記念賞 の3賞受賞作品。
1,975年度 ネビュラ賞、翌76年度ヒューゴー賞/ローカス賞受賞の
トリプル・クラウンに輝いた同じ著者の作品『終わりなき戦い』とは
直接の繋がりは無いが、テーマの継続性は有ると考えられる作品。

ナノ・テクノロジーを応用し、無から有を生み出すナノ鍛造機。
それは人類への福音となるはずであった。
だがそれは、『鍛造機を持てる者、使用許可を得た者(連合国軍)』対
『鍛造機を持たざる者、使用許可を得られなかった者(反乱勢力同盟体=ングミ軍)』
の2極分化を生み、世界を2つの対立ブロックに割る結果となった。
その対立は、いまや国家の枠組みを超え、
『国家』対『超国家地下組織』といった図式で、
人間同士が泥仕合を繰り広げているありさまである。
ゲリラ戦を得意とするングミ軍に対し、
連合国軍が用意した兵器が『ソルジャー・ボーイ』。
人間の意識によって遠隔操作される機械人形兵器である。
ソルジャー・ボーイの操縦士は“機械士”と呼ばる。
戦線の遥か後方の安全地帯に用意された“ケージ”にこもり、
外科手術で体に埋め込まれたジャックと遠隔操縦装置を繋ぐ
(= ジャック・インする)ことで、最前線に配置された
ソルジャー・ボーイと一体化を果たすのである。
ソルジャー・ボーイは10体で1小隊を形成する。
そのため機械士は10人(男性、女性5人ずつ)でチームを組み、
行動を共にする。 このチームは電子的に脳が結び合わされ、
一心同体の存在と化す。 まさに兵士として理想的な活動が可能となるのだ。
一心同体のチームとなったソルジャー・ボーイ小隊 vs. 生身のゲリラ群の局地戦が、
終わることなく今日も続く。 そこに、木星の衛星軌道上で行われている
粒子加速実験が絡み、戦争は思わぬ方向に ... という粗筋。

ストーリー(あるいはテーマ)上、やむを得ないことは充分理解できるが、
前半は展開が遅く感じられた。
そこさえガマンできれば、十二分に楽しめる作品である。

さすがにトリプル・クラウンを射止めた作品だけに、面白さは保証できる。
ネタバラシになるので詳述は控えるが、
アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』や
グレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』が思い出された。


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