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### Recent UPDATE ###
### 03.Dec.2,011 ###


モノグラム 1/48 ドルニエ Do335 の思い出

タミヤから 1/48 の決定版がリリースされてしまった現在、
今更の感はありますが、御用とお急ぎでない粋人の皆様、
どうかろまんすぐれーのすてきなおぢさまの繰言にお付き合い下さいませ。

このキット、いえ、Do 335 という機体を初めて知ったのは忘れもしない1,970年。
大阪万国博覧会見物のついでに連れて行ってもらった
伊丹(大阪国際/当時)空港の、送迎デッキ出入り口脇に置かれた
ショーケースの中でした。
いま考えると、空港の近くの模型店が置いたのでしょう。
通路の脇にちんまりと置かれた小さなショーケースに、
そのキットのパッケージが飾ってありました。 一目で気に入り、
その足で買いに走りたかったのですが、悲しいかな小学生。
伊丹空港に行くだけでも相当のムリを言った後でしたので、
ここはガマンするしかありませんでした。
舶来品の醸しだす一種独特なハイソなテイストと共に、
ドイツ第3帝国の機体だけが持つ、いかにも秘密兵器然とした
独特の形状の面白さがミックスされ、Do 335 の名は当時XX歳の少年の
未熟な脳裏に強烈な印象を焼き付けることになったのでした。

Do335 MONOGRAM package img.
伊丹空港・送迎デッキのショーケースには、
これと同じパッケージが展示されていた。
SPECIAL THANKS = “岐阜コクピット” N 商店主様
さて、生まれも育ちもド田舎な小学生のおつむでは、
あの箱に書かれた英単語が解読できよう筈がありません。
かろうじて“Do 335”の“Do”が、ドイツのドルニエ社を指すことと、
キットのメーカーがアメリカのモノグラム社であり、
1/48 スケールの模型であることくらいは判ったものの、そこは田舎モンの
悲しさで、モノグラム社のキットがどこで買えるのかが見当もつきません。
当時、名古屋ですら未知の領域で、大阪の模型店なぞ
分るはずもなかったのです。 地元の模型店なら多少は分るものの、
舶来品を扱っている店なぞ、当時は1軒もありませんでした。
欲しい物の情報は揃っているのに、買う方法が分らない。
そんなわけで、自らに長い我慢を強いる事になりました。

月日は流れ、本屋で模型雑誌や航空機雑誌を立ち読みする程度の
知恵は付きましたが、模型誌の広告などで“モノグラム 1/48 Do 335”の
文字を見かけなくなります。
当時は分らなかったことですが、モノグラムの製品は回転が速く、
一度生産した製品は2,3年市場に供給された後に生産休止になり、
また数年先に再生産され ... といったサイクルで販売されていたようです。
(現在では、国内のメーカーでもよく見られるスタイルではあります)
どうやら憧れの“Do 335”は絶版になったらしい、という事に気づいたものの、
後の祭りとはこのことか、と天を仰ぎました。 但し、メーカーは存続しており、
金型も無事なら、いずれ再販は間違いないと踏み、
チャンスを待つことにしました。

しかし、どういうわけか、以後“Do 335”は再販されることはありませんでした。
あまりに長期間再販されないものですから、金型が壊れたのでは?
との噂さえ聞こえてきたほどです。 実際、'70年代末期に始まった
“バンダイ - モノグラム”提携時にも再販されませんでしたし。

ともあれ、再販を信じて待つこと20余年。 遂にそのチャンスが訪れます。
モノグラムが、あの幻の Do 335 のキットを、
リパブリック P-47D サンダーボルト・レザーバックと抱き合わせで再販する
というニュースが飛び込んできました。
期待を胸に、わくわくしながら待つことしばし。
“Air Combat Series”と名づけられたそれは、戦闘機にそぐわない
赤いパッケージに包まれて、恥ずかしそうに店頭にならんでおりました。
ドン=グリーア氏の筆によるボックス・アート
(なぜかP-47が機銃でDo 335を射抜いている)も空々しく、
購買意欲を著しく削がれはしましたが、なにせやっと巡ってきた
あの幻の Do 335 を入手するチャンスです。
価格もかなりのプレミアもので、正確には憶えていませんが、
1/48 の大戦機2機で確か \5,000 前後という価格に泣かされながらも
(しかも不要な P-47 まで引き取らされて)3,4箱購入したと思います。
箱を開いて、モノグラム特有の部品点数の少なさと、
異常なまでの高価格とのギャップに戸惑いながらも
20余年に渡る夢が叶った事を寿いだのでした。

『部品点数が少ない』事が即、『精密ではない』という事象に
直結するわけではないことを思い知らされましたが、
正直『この価格はないよなあ』と思ったことも事実です。
そうした意見が多く寄せられたのでしょうか、およそ半年後、
モノグラムと事業提携したハセガワから、ハセガワ=モノグラム・ブランドで
1/48 Do 335 が発売されてしまいました。 こちらの定価はわずか
\1,600だったと思います。(しかも不要な P-47 は付いてきません)
Do 335 欲しさに支払った、あのプレミア価格は何だったのか ... ?!
血の涙を流しながら、ハセガワ=モノグラム版も1つ買ったのでした。

それからおよそ10年後、よもや Do 335 の新金型キットが
天下のタミヤ様からリリースされるとは、
神ならぬ身では知る由もなかった
のでした。 Do 335 のすばらしいキットが、国内の模型店で簡単に手に入る。
往時を振り返り、つくづく良い時代になったものだと思います。

え? 買い込んだモノグラムの Do 335 がどうなったか、ですって?
すっかり『押入れのコヤシ』になっていますが、処分する気にはなれません。
いつかタミヤと並べてやろうと思っています。

... 伊丹空港の送迎デッキにあったあのショーケース、
いまでも残っているのでしょうか ... ?

後日譚を読んでみる ... ?
TOY ROBOT small img.

モノグラム 1/48 ドルニエ Do335 の思い出

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