ハセガワの 1/72 F-16 シリーズは昔、しこたま買い込んだ。
A〜D型からN型までで、20個近くはあるだろうか。 だが、CJ型は1個も無い。
実はハセガワからC型のリリースが発表された際、A型が絶版になると勘違いして、
A型を買い漁った結果だ。 当時、バリエーション・キットを開発する際には、
旧モデルの金型を改造して新モデルを製作する場合が多く、ベースとなった古いキットは、
新モデルがリリースされると同時に絶版になるケースがよく見受けられた。
ハセガワ 1/72 T-34メンターの金型を改造して、新たに T-3 がリリースされたものの、
ベースとなったT-34は絶版になったケースを思い出して頂きたい。
F-16A もこのケースだと早合点した訳だ。
結局、A型の金型の一部を差し替え(コマ換え)式にしたり、新規パーツを追加したりで、
A型は絶版にならずにC型がリリースされた。 私の手元には大量のF-16Aが残った為、
ハセガワの 1/72 F-16は食傷きみとなり、以後、買い増す事は殆ど無かった。
エア・インティークが大型化されたF-16CJが発売されたのは知っていたが、
購入に至らなかったのもそれ故だ。 衝動買いした“モデル・グラフィック”誌に
触発されて、慌てて F-16CJ を探しに走り、模型店のおにーさんに笑われた件は
上述のとおり。
10数年ぶりに購入したハセガワの 1/72 F-16シリーズは、悲惨だった。
キット自体は既存のC型に、CJ型用の新規パーツ - 大型化したインティークや
エンジン・ノズル、ミサイル・ランチャー等 - を追加したもので、
使わないパーツも多いものの、定価の割にはパーツがギッチリ詰まっていて、
お買い得感はある。
ただし、追加された新規パーツはともかく、A〜D型共有パーツのあちこちに
バリが散見され、かつてのシャープな印象は微塵も感じられない。
製品の個体差もあるだろうが、私が購入したキットではレドームの周りが特に酷く、
バリの処理をしたら、機首上下の接着面に段差ができてしまった。
A.O.A.プローブも鈍らで、リプレース必至。
まずは主要パーツのバリの処理から。 デザイン・ナイフや400番の水ペーパーを使う。
やりすぎると、折角のパーツの勘合をスポイルしてしまうので、程ほどに。
(御想像どおり、しっかり削り過ぎて、返って隙間を作ってしまいました)
ついでにパーティング・ラインの処理も同時進行。
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*** コックピット ***
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以前はシャープな造形だったのに、ずいぶんモールドが眠くなってしまっている。
射出座席にはバリもあるが、それ以上に座席の側面にはヒケが目立つ。
一度はパテを使って整形したものの、修整は不完全。 片目を瞑って諦めた。
計器類はデカールで再現。 左右のサブ・コンソール用デカールには、垂直に
折り返す部分がある。 折り返し部分の計器類が歪まないよう、セット時に注意。
(水平部分と垂直部分を切り離せば良いだけの話だが、細分化し過ぎると貼り難くなる)
ハセガワ 1/72 AV-8Bのデカール貼付作業中の失敗に懲り、ぬるま湯を使う。
冬の最中の作業であったが、デカール貼付作業に全く支障無し。
でも、やっぱり主計器盤のデカールを貼り損ない、デカールをもう一枚、
メーカーに請求する羽目に ... ハセガワのデカールは鬼門だ。
2昼夜程放置してデカールを乾燥させた後、Mr.Color #182“スーパークリアー艶消し”で
コーティング。
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*** 胴体 ***
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胴体は基本的に上下2分割の構成。
例の如く、胴体内側に Mr.Color #33“艶消し黒”をエアブラシで吹き付け。
同時にコックピット表面のアンチグレア・シールド部分も塗装。
コックピット部分には Mr.Color #13“ニュートラル・グレイ”を吹き重ね。
機関砲口はピンバイスで穴を空け、細い丸ヤスリ(ネズミ歯)で整えた。
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*** エア・インティーク ***
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左右側面を接着し、正面のインティーク・ダクト部分と首脚庫をセットする構成。
パーツの勘合は悪くないが、ダクト部分の接着時には少々調整が必要。
左右側面パーツを接着する前に、HTSポッド装着用の隠し穴を開けておく事。
御想像どおり、開けるのを忘れました。
左右側面パーツは接着面が薄い。 特に上側。 最終的には胴体下面に接着するので
不要かも知れないが、単体では心もとなかったので、継目の内側にプラ板の切れ端を
接着して補強した。 一体化した左右側面に、正面のインティーク・ダクト部分を接着。
事前に調整を施したが、隙間や段差が生じたので、パテ埋め整形。
実機では、インティーク・ダクトの中の目立つ部分にステーが見える。
ダクトを補強し、変形を予防する為のもので、これはキットでも再現されている。
このキットでは、インティーク基部にインティーク・ダクトを接着後、インティークを
胴体に接着する前になら、いつでもステー部分を接着するすることができる。
ダクト内部を塗装後、塗装したステーを接着して、ダクト内側全体をマスキングするのが
セオリーだろうが、今回は塗装前にインティークを組上げ、無塗装のステーも接着した。
ステーをダクト内側と違う色で塗り分ける必要が無いと判断したからだ。
実機、といってもCGだが、ではこの部分がどう表現されているのか、
仄聞にして不明である事をよいことに、好き勝手している訳だ。
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*** 主翼 ***
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金型の疲労故か、フロー・マークが目立つ。
主翼の縁にはパーティング・ラインや微小なバリがあるみたいで、
水ペーパーなどで軽く整形すると、シャープなラインが現れるだろう。
主翼端にはエアロ3Bランチャーがモールドされている。 BLOCK50 では、
AIM-9 シリーズの他に AMRAAM も搭載可能な LAU-129A/A ランチャーに
換装されている例が多いとかで、キットの説明書でも交換が推奨されている。
ただし、ランチャーを交換するには、翼端にモールドされているランチャーの
切り取り作業と、新しいランチャーの接着作業が要求される。
パーツの切り取りはともかく、主翼厚が薄いので、金属線等での補強が難しく、
新しいランチャー・パーツは翼端にイモ付けする事になろう。
強度上の不安が払拭できず、迷ったが、やぱりランチャーを交換することにした。
大きめのニッパーをハサミのように使い、主翼端を傷めないように留意しながら
ランチャー部分の端の方を無理矢理切り取る。 そのあとは馬鹿の一つ覚え、
ブラジル産の金属製棒ヤスリ、『ニコルソンの金ヤスリ』の出番である。
名古屋駅前の東急ハンズで \3,000 前後だったろうか。 プラスチックなら恐ろしいほど
良く削れるので、切削ラインを一直線に整えたい場合等に重宝している。
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*** アクセサリー ***
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■ 増槽
300ガロン・センター・タンクx1、370ガロン・ウイング・タンクx2の、計3本。
少々バリあり。 接着面を水ペーパーなどで整えたほうが良いだろう。
接着前に調整したが、センター・タンクの先端に隙間が開いた。 要修整。
■ ミサイル類
HARM、AMRAAM いずれにも押し出しピンの痕がある。 搭載するなら、要修整。
他のF-16シリーズと共有のパーツである AIM-9 は、随分くたびれた印象だ。
フィンのエッジだけでも整形すれば使えないことはなさそうだが、
ハセガワの“ウエポン・セット”からトレードするのも選択肢のひとつ。
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