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### 22.Sep.2,016 ###


タカラ・レベル 1/72 LOCKHEED SR-71 "BLACK BIRD"

いまさら“タカラ・レベル”と
嘲笑する御仁も
いらっしゃるでしょうが、
自分、不器用なもので ...
witch img.

SR-71 Pkg.img
*** TAKARA / REVELL # H-212 ***

このキットを購入したのは確か、1,970年代末。
説明書に“1,978 by REVELL, INC. Printed in Japan.”とあるので、その頃でしょう。
今日ではハセガワ、イタレリ、モノグラム等からも素晴らしいキットがリリースされていますが、
当時、箱スケール物ならともかく、スタンダード・スケールのSR-71を作るなら、
このキットしか選択肢が無かった時代でした。
このキット、グンゼとレベルが提携を結んでいた時代から欲しかった、
『憧れのキット』のひとつだったのですが、ついつい買いそびれ、
そうこうしているうちにグンゼとレベルが提携解消。
しまったと臍を噛んでいたら、グンゼと交代する形でレベルと提携することになった
タカラから『あの』1/72 SR-71 も再販される事になり一安心。
タカラ・レベル版を購入し、製作を開始したものの、やがてハセガワから
ブランド・ニュー・キット近日発売との報に接した事もあり、モチベーションが低下。
製作中断したまま、およそ30年近くが過ぎてしまいました。

それがこの度、模型サークル“岐阜コクピット”の
2,011年展示会の御題が“偵察機”と決まったのを良い機会に、
30年近く熟成させた(?)オールド・タイマーを成仏させてやろうと作業再開。
さて、どうなりますやら。


製作

このキットが発売されたのがいつ頃なのか不明だが、航空情報1,970年5月号臨時増刊
“プラモガイド / AIREVIEW No.271”を見ると、P.47にレベルの 1/72 YF-12A に関する記述が
見受けられる。 『SR-71に改造するのも比較的簡単』とあるので、レベルのSR-71 は
YF-12 のヴァリエーション・キットとして1,970年以降に発売されたと推測される。

なにぶん古いキットなので、いまさら出来・不出来を論じるのは無粋だろう。
基本的なシルエットもどこか変なのだけど、妙な味があって、捨てられない。
例えるならば、ぐにゃぐにゃと抑揚のある線で描かれた、どこか温かみのある、
松本零士の描くメカニズムのような ... 例えが悪過ぎる?

パーツの大まかな構成は、どこかでみたような ... と思ったら、LS の 1/144 とそっくり。
垂直尾翼の固定方法が異なる等、細部が異なるので、
LS がレベルのキットを縮小コピーしたと強弁するわけではないが、参考程度にはしたことだろう。

パネルラインのモールドは一切省略。 ディティールは発売当時(60年代後半?)の水準並。
平たく言えば、ほとんど無いに等しい。 レドーム内にはレーダー装置が再現されているものの、
実物どおりかと言えば疑問が残る。 コックピットはがらんどうで、シートはおろか床板すら無し。
晒し首状のパイロットを内側に接着して誤魔化すといった按配であります。
せめてパネルラインを彫ってみようかと一瞬考えたが、
ハセガワやモノグラムのような比較的新しいキットならとにかく、
この古典的なキットには不毛な作業になりそうなので、断念。
逆に、キットをオブジェに見立てて、表面をツルピカに磨き上げる方向で作業を進めてみようと思う。

とりあえず、現状確認から。
可動部はなし。 あえて言うなら前後輪のタイヤ部分が回せそうか。
開閉選択パーツは、機首のレドームと首、主脚庫扉。
機首にはレーダー機器がモールドされているが、それなりのリアリティなので、
レドームは閉めて固定したほうが無難だろう。
脚柱の再現度もそれなりで、脚庫扉も閉めたくなるが、スタンドが用意されている訳でもなし。
大柄な機体を支えるスタンドに心当たりも無いので、脚はダウン状態で組もうと思う。
コックピットのキャノピーは前後席とも、機体と一体成型済みなので、開閉選択の余地は無し。
開口されたキャノピー枠の裏からクリアー・パーツのウインドウを嵌め込む方式。
コックピットのウインド・シールドとキャノピーは、前後席が一体で成型。
コックピットは一切再現されておらず、晒し首状のパイロットを接着して誤魔化している。
キャノピーはオープンできないし、クリアー部分も狭いので、これで充分ではある。

製作方針としては、レベルのオリジナル性を尊重し、
  • レドームはクローズ状態で固定
  • 降着装置はダウン状態
  • コックピットはオリジナルのまま
... としよう。 古いキットなので、いまさら手を入れても ... というエクスキューズであります。

さて、製作作業。
キャノピーのクリアー部分は機体に接着済み。 晒し首パイロットは適当に塗装し、セット済み。
左右エンジン部分のマッハ・コーン先端がナマクラだったので、削ってシャープに整えたところで放置。
マッハ・コーンに施されていたパネルラインが消えてしまったので、嫌気がさしたらしい。
削ったことで消えてしまったパネルラインは、初めから存在しなかった事にしよう。

主脚と首脚の間隔が広く、主脚の位置は機体のかなり後ろ寄りなので不必要かも知れないが、
念のため、機首に板鉛の欠片(5〜10g?)を忍ばせておいた。 

機体上下の接着。 エポキシ接着剤を要所に塗り、輪ゴム等で固定して一晩放置。
仮組み時にはそれほどでも無かったのに、機体上下を輪ゴムなどで固定してみると、
接着線に無視できない程の段差が生じた。
事前にプラ板などで段差を調整すべきだったが、後の祭り。

別部品化されているテール・コーンの接着線にも、強烈な、としか形容できない段差が生じる。
近年のキットなら不良品呼ばわりされることだろうが、昔のキットは皆、こんなものだった。

このキットを製作途中で放置した原因は恐らく、これらの隙間や段差の存在だったのだろう。
当時、エポ・パテやポリ・パテといった便利なマテリアルはまだ、一般的ではなかった。
今ならポリ・パテで一発 ... 切らしている。 買いに行くのが面倒なので、結局、
昔ながらのタミヤ製ラッカー・パテで埋める羽目に。 我ながら何やってるんだか。

胴体上下間の隙間はラッカー・パテで何とか埋めたものの、流石にテール・コーンの方は厳しそう。
諦めてポリ・パテを買いに行こうかと思ったが、ラッカー・パテを盛って削って弄っていたら、
なんとかなってしまった。 近い将来、パテがヒケそうで怖い。

組立作業上、一番の難所はエンジン・ナセルだろう。
胴体下面パーツと一体成型されているナセル下面に、マッハ・コーンエンジン・ノズル
外翼部と一体成型されたナセル上面外翼側ハーフナセル上面内翼側ハーフ
4パーツを載せる構成。
個々のパーツの精度が高くて、部品の勘合が申し分なければ問題は無いのだが、
このキットでは ... 個々の部品の精度が甘く、部品同士の接着面は隙間だらけ。
精度の低いパーツをいかに結合させようか ...
トライアル - 1 / 力技
マッハ・コーン、ナセル上面外翼側ハーフ、ナセル上面内翼側ハーフに
エポキシ接着剤を塗りたくり、無理矢理ナセル下面に接着しようとしたが、
接着剤が速乾性に乏しく、パーツが固着する前にバラけてしまい、失敗。

トライアル - 2 / 接着する順番を考えよう
1、 胴体上下を接着後、瞬間接着剤等でナセル下面部分にマッハ・コーンを接着
2、 マスキング・テープを使い、ナセル下面部分にエンジン・ノズルを仮留め
3、 マッハ・コーンとエンジン・ノズルをガイドにして、
ナセル下面部分にナセル上面外翼側ハーフを瞬間接着剤等で接着
4、 ナセル下面部分とマッハ・コーン、ナセル上面外翼側ハーフの
接着部分の内側にエポキシ樹脂系接着材を流し込み、補強。
一晩養生し、充分固着させる
5、 接着したマッハ・コーンとナセル上面外翼側ハーフ、
仮留め中のエンジン・ノズルをガイドに使い、
瞬間接着剤等でナセル上面内翼側ハーフを接着。
ナセル上面の内翼側ハーフと外翼側ハーフの接合面に
0.5〜1.5mmのクサビ状の隙間が生じるので、
プラ板の切れ端とパテを使って埋める

トライアル - 2は一応成功。
接着材を充分固着させるため、接着する工程毎に一晩養生させたのが奏効したようだ。

この時点でエンジン・ノズルを接着しなかったのは、事後、ナセルの内側にエポキシ樹脂系
接着剤を塗り込んで補強するためと、微妙に長さの異なるナセルの三つのパーツを調整するため。
ナセルのパーツはエア・インティーク側で揃え、ギャップはエンジン・ノズル側に集中するように
接着した。 ナセルの内側に塗ったエポキシ接着剤が充分乾燥したところで、
ナセル後端を棒ヤスリ(馬鹿の一つ覚えの“ニコルソンの金ヤスリ”)等で削り、
ノズルがナセルに密着するよう、可能な限りギャップを調整。
それでも調整し切れなかったギャップ(最大1,5mm程)には、
ノズルを接着した後にプラ板の欠片を押し込み、削り出して調整した。
円筒形状のナセルに合わせて、差し込んだプラ板を削るのが難しい。
ところどころナセルが角張っているのは“仕様”です。

気がつけば、接着した部分はもれなく手製シムとパテまみれ。 大丈夫か ... ?

*** タカラ・レベル 1/72 SR-71 上面之図 ***
SR-71 UPPER.img
*** エンジン・ナセル中央の白い部分はプラ板製のシム ***

*** タカラ・レベル 1/72 SR-71 下面之図 ***
SR-71 LOWER.img
*** 機首等のグレーの部分はパテ ***

ピトー管はパーツとして用意されてはいるが、モールドが甘いし、強度上の心配もあり、
1.0mm の真鍮管と 0.5mm の真鍮線を組み合わせて自作した物に交換。
レドームの先端、ピトー管付け根の部分にはパテを盛り整形。


塗装

黒は傷の目立ちやすい色であり、機体全面パテまみれでもあるので、
サーフェイサーによる表面処理は欠かせない。


参考資料 (順不同)

SR-71 ブラックバード 世界の傑作機(新装版) # 100 文林堂



タカラ・レベル 1/72 LOCKHEED SR-71 "BLACK BIRD"


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