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### 03.Dec.2,011 ###


タミヤ 1/25 チーフテン の思い出

『田宮模型』というキーワードから、どんなジャンルの模型を連想されますか?
私が『タミヤ』を意識し始めたのは、1/100 ミニジェット・シリーズからでしたが、
多くの方は『AFV の老舗』、いえ、『動く戦車模型の老舗』といったイメージを
お持ちなのではと思います。
戦後登場したハイテク素材プラスチックは玩具の世界にまで浸透し、
それまで主流であったブリキやセルロイドといった素材を駆逐して行きました。
ただ、せっかく登場した新素材も、活用する方法論が
確立しているわけでは無く、また加工技術も未熟でありました。
所詮は玩具。 実物のミニチュアとしての『模型』に限って述べれば、
野心作と呼べるものが無いわけではありませんが、
当時の金型技術では実現が難しかった事でしょう。

では、当時の模型は取るに足らないものばかりか?
いえ、決してそうではありません。 現在ではあまり見かけない、
動くことに重心を置いた模型が多数存在していました。
それまでの玩具の延長線上に存在するキット群ではあったかも知れません。
ですが、ゴムやゼンマイ、バネ、小型モーター等で駆動される
模型達に私達はどれほど慰められた事でしょう。
週末、握り締めた50円玉1個で買ったゴム動力の潜水艦や、ゼンマイで
走る自動車などで、私達はどれほど楽しませてもらったことでしょう。

たゆまぬ技術革新のおかげで金型技術も向上し、
動くという要素を満足させつつ、破綻のないプロポーションも
両立させたキット
が登場するようになります。
そうしたキット群のキング・オブ・キングスが、タミヤの 1/25
“タイガーI型”(リモコン・タイプ)であることに異論は無いと思います。
(参考資料が充実した現在の眼で観ると、苦しい部分は多々あることでしょうが ...)
ですが、今回取り上げるのは 1/25 “チーフテン”なのです。

実は小学生のころ、近所の友人たちが 1/25 のリモコン戦車で決闘遊びをしていました。
決闘の現場を見せてもらったわけではありませんが、話を聞いてみると結構面白そう。
子供のすることですから、ルール不在のえげつないぶつかり合いといった、
ある意味他愛のないゲームだったようでしたが、
1/25 の大きな戦車を自分でコントロールする事に意味があったようです。
早速キットを買って、と思っても、小学生ですから先立つものが無い。
暫く小遣いをため、やっと購入したキットが、友人たちが持っておらず、
しかも比較的安価だった“T-34/85”でした。
製作途中にサスのバネを一個無くしてしまい、サスペンション・アームが一本
取り付けられず、ロードホイールが一枚足りないのは御愛嬌 ... といった代物でした。
(今ならタミヤのアフターサーヴィスに連絡して ... といった知恵も湧きますが、当時はとても)

そんなこんなで製作が捗らず、組立が終わった頃には決闘遊びも下火になっていましたとさ。
組立技術が稚拙だったので走らなかったのか、電池を買う予算が捻出できなかったのか
よく憶えていないのですが、“T-34/85”を走らせた思い出は殆どありません。
一枚足りない転輪の祟りだったかもしれません。

しかし、大スケールの動く戦車模型の楽しさは忘れられず、
もう一台、と思うのは自然な流れでしょう。
先ほどの友人たちが持っていない車種、ということで、
白羽の矢を立てたのが“チーフテン”でした。
だが、やっぱり先立つものが ... ということで時間ばかりが過ぎ、
とうとう購入には至りませんでした。

1/25 戦車シリーズは、キャタピラが一枚ずつ別部品になっていて、
ベルト式キャタピラより数段リアルなのが大きなセールスポイントでした。
多くはハメコミ式でしたが、”チーフテン”だけはキャタピラの接合方法が
特殊だったと記憶しています。 うろ覚えですが、確かキャタピラ一枚一枚を、
熱したドライバーなどで焼きとめする方式ではなかったでしょうか?

小学生の技量では製作はムリと判断したのも、購入に至らなかった理由です。

*** 追補 : 22.May.09 ***
焼き止め式なのは(舗装路面保護用の?)ゴムパッドを再現した部分。
キャタピタの一コマ毎にゴムパッドを一つ嵌め、パッドの裏の2本の足を焼き止める方式。
キャタピラのコマ自体ははめ込み式との事。 この情報はレビ様から頂戴致しました。
レビ様、御指摘ありがとうございました。


その直後、あの石油ショックが日本を直撃し、それが主原因なのかは
判りませんが、いつの間にやら憧れの 1/25 戦車模型も姿を消して行きました。

それから30年近い時が過ぎ、1/25 パンサー(ただしラジコンに改造)や
タイガー I 型、T-34/85、SU-100、そしてセンチュリオン等が、
走行ギミックを省略した形ではありましたが、時折再販されていたようです。
ですが、なぜか現在に至るまで、我が憧れの“チーフテン”は再販されたことが無いようです。

実は7、8年前、久しぶりに近所のひなびた玩具店を覗いたところ、
あの 1/25 “チーフテン”(しかもリモコン版!)が店頭に並んでいたのです!
しかも2個! あの時は自分の目を疑いました。

よっぽど買おう!と思ったのですが、再びあのキャタピラがネックとなり、
1時間ほど『買うた止めた音頭』を力一杯踊った後、製作技術の足りない者の
押入れのコヤシになるよりは、誰か作ってもらえる人のところに廻ればと思い、
後ろ髪引かれる思いで引き上げたのでした。 それでもやっぱり気になって、
その次にそのお店を覗いたときには、あの大きなキットは2つとも
店頭から消えていたのでした。 転売屋の手に落ちることなく、
組み立ててもらっていれば良いのですが ...

そして昨年でしたか、某所では悪名高い『レ○ナルド』の、名古屋店を
ヒヤカシに行ったとき、中国製だか韓国製だかのデッドコピー版
1/25 “チーフテン”が店頭に鎮座していたのですが、所詮はコピー。
オリジナルだけが持つ風格や格調といったものは微塵も感じられず、
がっかりしました。 こんな事ならあの時、素直にオリジナルを
買っておけば良かったかなあ ... と、ちょっぴり後悔したのでした。

動く模型が店頭から消えて久しくなります。 今ではあの金属製
ギヤ・ボックスを作る技術を持ち合わせた国内業者も絶えてしまったのか、
『ミニ四駆』のノリでプラスチック製のギヤを組み合わせて駆動部を作る、
動く戦車模型も時々見かけはしますが、往時を知る者には寂しい限りです。
(ディスプレイ・モデルも楽しいのですが ... ノスタルジー、ですね)
かつてのリモコンやシングル戦車、再販してくれないかしら。

ornament-01 img.

*** 追記 - 05.Dec.2,008 ***
... などと、上の駄文を上梓したのが2,003年01月頃のこと。
書いた本人がその文章の存在すら忘れかけていた2,008年の暮れ、
ネット・サーフィンに疲れた眼にビッグ・ニュースが飛び込んできました。
2,008年11月22、23日に静岡県静岡市のツインメッセ静岡で開催された
“タミヤ・フェア 2,008”において、夢にまで見た1/25 チーフテン
実に25年ぶりに再販されたとの事 ... !
なんでも300個限定とのことですが、恐らく『会場販売数が』でしょう、ね?

オリジナルのキットは、アイドラーホイールの基部等がダイキャスト製で、
現在では再現不可能だった事と、一枚一枚焼き止め処理が必要な(記憶違い?)
キャタピラの組立方法(PL法上問題になるとか?)等がネックとなり、
再販が困難であったようです。 ダイキャスト部品は新規設計品と差し替え、
連結キャタピラはタミヤ・フィリピンの工場で組立てを行い、
完成したキャタピラを同梱することで解決。 かくしてディスプレイ・タイプの
1/25 チーフテンが再販される運びに漕ぎ着けた由。

この情報に接した瞬間、まずは自分の眼を疑い、
慌ててタミヤのホーム・ページにアクセスしたのは言うまでもありません。
つい先週行われたばかりのイベントで限定再販されたばかりです。
思い入れたっぷりのあのキットを、そう簡単に諦めるわけには参りません。
幸い“タミヤ・ショップ・オンライン”にて取り扱われている事を確認し、一安心。
近所の模型店で確かめたところ、そのお店と取引のある問屋では
取り扱っていないとの事で、地方では事実上、1/25チーフテンは
“タミヤ・ショップ・オンライン”でのみ購入可能のようです。
模型店が独自に、タミヤから直接取り寄せているところもあるそうですが、
そんなガッツの有る店は自分の周囲には無いようでしたので、
素直にタミヤのオンライン・ショップに発注。 無事、入手できました。
foollovers Small Santa-Girl-1 img.
BOX img.
foollovers Small Santa-Girl-2 img. 静岡から届けられた、大きなクリスマス・プレゼント。
思い焦がれて数十年。 ついに手に入った1/25チーフテン。
左下はサイズ比較用に置いたタミヤ1/72震電のパッケージ。
為替レートが 1ドル = 100円を割り、投機マネーが手を引いて
原油先物取引価格が急落し、一時は1リットル\185を超えた
レギュラー・ガソリンの価格が\120を割り込み始めた昨今、
1,967年に発売された模型の再販価格が税込み\9,800というのは、
少々評価が分かれるポイントではあるかと思いますが、
今は素直に25年ぶりの再会を寿ぎたいと思います。
(もう少しお手頃な価格なら、もう一個、発注するところなのですが ...)

待てば海路の日和有り、と申します。 その言葉を噛み締めながら、
小さな夢が一つ叶った事を素直に慶ぶことに致します。

*** 追補 : 22.May.09 ***
1/25 チーフテンのディスプレイ・モデルは予定数を売り切ったらしく、
タミヤのオンライン・ショップでの取り扱いも2,008年の年末頃に終了しました。
その代わり、2.009年4月下旬から4ch電動ラジオコントロールタンクとして
装いも新たに再販されていることは、各模型雑誌などでも報じられています。

foollovers Santa-Girl img. ツイン・スター印の
サンタさんっ!
大きな
CHRISTMAS PRESENT
ありがとうございましたっ!!
foollovers Ojigi-Girl img.

タミヤ 1/25 チーフテン の思い出

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