さて、このキット、1,979年の早春に発売されたようだが、
当時の模型誌等を紐解いてみると、その評判の芳しくない事に驚く。
その理由は数あれど、まずは砲塔形状の悪さ。
全体的におまんじゅうのような形であるはずなのに、キットのそれを横から見ると、
まるで鏡餅。 砲身周りの下側が妙にえぐれていて、著しく実感を損ねている。
砲塔前半部が妙に低く、投光器取付け基部等の複雑なディティールも存在することから、
砲塔の形状修正は事実上、不可能と言わざるを得ない。
その他、砲塔に3個あるフックが2つしか無かったり
(砲塔後部のフックが省略されている)、
砲身右側の投光器と砲身の上下動を連動させるためのロッドの形状が違っていたり
(砲身の可動を優先させるために、故意に変更したのだろう)、
また、正面から見たフェンダー先端の形状が実物と違っていたり
(先端は水平なはずなのに、キットでは両端が垂れ下がっている)と、
ざっと見渡しただけでもこんな具合である。
砲塔の形状が修正不能なまでに異なっている以上、
生半可なディティール・アップはヤルだけ無駄と判断。
最低限の追加工作(後述)を行う以外、全くの素組みで済ませることにした。
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製作上の注意点は3つ。 |
1,
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フェンダー上の工具箱は、組み立ててみると隙間が開くので、
念入りに修正すること。
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2,
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砲塔の左下、シャーシ上に一体モールドされている
シャベルの塗装を容易にするため、
砲塔左側基部のパーツ(P/N = B13)は、
全体の塗装が終了するまで接着しない事。
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3,
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シャーシ後部のエンジングリルには金属メッシュが奢られ、
実感満点だが、メッシュが一回り大きい。
長辺をひとコマ分詰めるとちょうど良い大きさになる。
無理にセットすると、グリル中央の細いブリッジ部分が折れる事がある。
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以下の追加工作を行った。
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1,
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キットはもともとモーターライズ化が考慮されており、
シャーシにはギアを逃がすための穴が空けられているので、
裏から蓋をして、ポリパテで埋めた。
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2,
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緩やかな円弧を描く砲塔側面の手すりは、
キットのパーツ(P/N = C26)では太すぎるし、
強度上の不安もあったので、0.5mmの真鍮線に変更。
キットのパーツをガイドにしたら、存外簡単であった。
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3,
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エンジンルーバー左側の、ルーバーカバー開閉用ロッド(?)の
パーツ(P/N = B7)が変形していたので、真鍮線に置き換えた。
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その他、シャーシ正面の波切り板に木目がモールドされていたが、
金属板のほうが『らしい』ので、木目モールドを削り落とした。
ライトのパーツ(P/N = B1、C3)について。
正面レンズ部の中央に大きなヒケがあったので、
キャラクター・モデル用に別売りされているレンズ状のパーツ
(平たく言えば、ザクの目ん玉ですな)をはめ込もうとしたが、径が合わず。
レンズの裏からヤスリをかけて、径を合わせようと加工中、
パーツを跳ばして紛失すること3度。 気力が失せ、断念。
シャーシ用のライト(P/N = B1)にのみはめ込んだが、加工不足のため、
完全にはめ込む事ができず。 レンズが斜めになってしまった。
一部パーツの勘合性に問題があるものの、
パーツ数が少ないこともあり、総じて製作は容易である。
製作作業上、一番苦労したのは、円筒形の補助燃料タンクの
整形作業だった事を申し添えたい。
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