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### 06.Oct.2,016 ###


タミヤ 1/35 M1A1 ビッグガン・エイブラムス

実力は実証済みなのに
インパクトに乏しいスタイル。
タミヤの製品にしては
隙間が多くて、ポリパテ必須
witch img.

PACKAGE img.
*** 1/35 ミニタリー・ミニチュア・シリーズ # 156 ***

M1 エイブラムス。
言わずと知れた米陸軍の現用主力戦車であり、
二度に渡る湾岸戦争でも真価を証明してみせた、言わば実力派ではありますが、
アクの強いレオパルドII等と比べてそのスタイルは平凡で、
いまひとつインパクトが感じられません。
タミヤが模型化して随分経つものの、つい買いそびれたのもそれ故です。
それが、2,006年11月11日に見学させていただいた
模型クラブ『富山サンダーバーズ』の展示会場にて、
会員放出品としてお値打ち価格で売りに出されていたのを見かけてしまい、
ついフラフラと手を出したのが運の尽き(?)。
パーツに一箇所だけ破損が認められたので、
そこだけ修繕するつもりでいたのに手が止まらなくなり、
そのまま製作することになりました。


製 作


破損していたのはシャーシ下部。 右側の最後部、スプロケット・ホイールの
軸の基部の取付け部分の後ろ半分がポッキリと折れていた。
折れた部分は幸い残っていたし、もとが個人所有の処分品なので、文句を言う意図は無い。
修繕の手順を書き残しておきたいだけである。

修繕といっても、補強材として0.5mmプラ角棒をシャーシ裏から当て、
折れた部分といっしょに瞬間接着剤で固定しただけではあるが。
この際、シャーシの後面に接着するリヤ・パネルまでプラ角棒を伸ばし、
補強をより確実にした。 さらに、プラ角棒の周りにポリパテを盛り、
モーターライズ時にギアボックスのシャフトを通すための穴を埋め、
シャーシと面一になるように整形。 ホイール基部パーツとホイール自体で
ほとんど隠れる部分なので、ここまでする事は無かったか?
ついでにシャーシ底面のギヤボックス用の穴もポリパテで埋め、整形。

それにしても主要パーツの勘合が芳しくない
細部はそれほどでもないが、シャーシ上下、砲塔上下パーツの接合部分に隙間が開く
このキットの製作経験者(複数)から伺った限りでは、
どうやらこれは経時変化による固体差などでは無いらしい。
天下のタミヤ様の製品にしては珍しい事だが、
修正作業は面倒なだけ困難では無いのが救いだ。
まずは机の上に転がっていたプラ板の切れ端を隙間に埋め込んでみたが、
それでも不足だったのでポリパテを擦り込んだ。
あとは金ヤスリ等で慎重に削り出してやれば良い。
ここさえ過ぎれば、以後はルーチン・ワークの繰り返しである。

細部パーツの勘合は存外悪くない
接着面に顔を出すパーティングラインを丁寧に消す必要はあるが。
小さくても左右の別があるパーツ、例えば砲塔上のスモーク・ディスチャージャー等にも
フール・プルーフが施されているのには舌を巻く。
ただし、目立つところに押し出しピンの丸い痕
くっきりと残っているパーツが多いのには閉口させられる。
ピン痕には可能な限りパテ盛り整形を行っているが、数が多くてなかなか作業が進まない。
配慮が行き届いているのか、足りないのか。
タミヤにしてはちぐはぐな印象が拭えない。

車長用の12.7mm機銃の左側面にも、押し出しピンの痕が見受けられる。
外装パーツの陰になる位置ではあるが。 周囲のモールドが邪魔で、パテを盛るのも難しい。
エバーグリーンの125番(0.5 x 2.5mm)を適当な長さに切り出し、ピン痕の上に被せて接着。
機銃の側面に余計な出っ張りが追加された訳だが、ピン痕が丸見えよりはマシ、といったところ。

今回初めて、タミヤの純正エッチング・パーツを利用してみた。
“1/35 Military Miniature Series No.273” U.S. M1A1 / A2 ABRAMS 用セットである。
ローダーズ・ハッチ機銃レール / 車体上面後部左グリル / バスル・ラック・ネットの
3パーツ(機銃レールは2枚のパーツを重ねる方式なので、パーツ数は4個)。
さすがに純正品だけあって、サイズはぴったり
価格も手頃なのは嬉しいが、パーツが3つしかないのは寂しい。
使うあての無いオマケをごてごて追加されて、価格を吊り上げられるよりはマシか。
機銃レールは、エッチングに交換する必要を感じなかったので、省略。
バスル・ラック(砲塔後部のバスケット)ネットをありがたく使わせて頂いた
パーツの形状のおかげかも知れないが、薄いエッチングパーツでありながら存外頑丈で、
使い心地も良好。 その一方、グリルは思ったより柔らかく、まるで紙切れのよう。
ランナー(?)からの切り離し時につい、折り曲げ癖をつけてしまった。
グリルも省略しようかとも思ったが、もったいないオバケが出て強行使用。
せめてグリル上の、ラッチのモールドだけは削り落としてから、エッチングを貼るべきだった。
モールドに引っかかって全体が波打ってしまい、やっぱり情けない出来栄えになってしまった。

砲塔には、左右と後部に3つのバスケットがあるのだが、桟はいずれもプラ・パーツ。
ゲートが結構ゴツいので、切り離しや整形時に桟を折らないよう、注意が必要。

砲塔後部のバスケット(バスル・ラック)の底面パーツが、軽い事後変形を起こしているようだ。
組み上げた後部バスケットを砲塔に接着しようとしても、妙に座りが悪い。
少しでも強度を稼ぐため、左右バスケットとの間に生じる隙間にプラ板の欠片を差し込み、
瞬間接着剤等を使って強引に接着したが,見苦しい仕上がりになってしまった。
また、バスル・ラックの桟の外側に4個、機銃弾ケースを取り付けるのだが、
ラックの事後変形のせいか、乏しい接着面の影響か、固定位置が微妙に凸凹してしまった。
接着面が乏しい、といえば、左右ラックの桟の外側に接着するよう指示されている
2つの装薬ケースも、側面のバスケットの桟にイモ付けするように指定されている。
固定が難しいし、強度も心配ではあったが、低粘度接着剤を流し込んで無理矢理接着した。
一晩養生したが、やっぱり接着強度に不安が残る。 大丈夫か?

ディティール・アップのつもりで、ハッチ等の取っ手0.5mmの真鍮線に交換。
左程の数でもないので、作業自体はあっという間だったが、砲塔左右にある道具入れの
ラッチらしきものまで取っ手と間違え、切り飛ばしてしまった。
しかたがないので、ここにも“コ”の字形に曲げた真鍮線を取り付け。

オマケで用意されている、機銃用アーモ缶は底が抜けている
説明書では左右バスケットの中に入れるよう指示されていて、
たとえ底抜けでも目立ちはしないとは思うが、念のため、ポリパテを充填。
自分の扱い方に問題があるのかもしれないが、経験則上、タミヤのポリパテはヒケる
1年ほど放置して、ポリパテがヒケてできた隙間にラッカーパテを摺り込み、
表面処理を行えばベストなのだが、そう悠長な事もしていられないのが辛いところだ。
そして案の定、硬化剤がカゼをひいていて、盛ったポリパテがいつまでたっても固まらない。
ポリパテが固まるまで、一週間程ホールドとなった。 詰めたポリパテを爪の先で押さえると、
まだ柔らかな感触が残るが、我慢できなくなり、削りだし整形作業を強行。
改めて砲塔のバスケットを眺めると、たとえ底が抜けたアーモ缶でも、
底部が目立たなくなる場所がある
ことに気がついた。
## ポリパテが固まるのをひたすら待った一週間は、なんだったのだろう ...
エイブラムスには、シャーシの左右に大きなサイド・スカートが取り付けられている。
キャタピラは全体の塗装終了後に取り付けるつもりだが、スカートが邪魔になりそうだ。
スカートの取り付けはキャタピラを取り付けた後に行う予定。

主砲身、砲塔、シャーシ(転輪等を含む)、左右スカート、その他(機銃等の細部パーツ)の
各ブロックを組み上げたら、タミヤのファイン・サーフェイサー(缶スプレー)を吹きつけ、
表面処理。 吹き付け中にまとわり付いた糸くずやゴミを、水ペーパーで削り出す。
その最中、砲塔右舷側のスモーク・ディスチャージャーがもげた。 瞬間接着剤等を総動員して
接着したのだが、やはりイモ付け。 接着強度不足は否めない。 芯に真鍮線を通して再接着。
真鍮線を通す為、砲塔の横に開けた穴の位置のアジャストが拙かったため、
左右ディスチャージャーの高さが不揃いに。 言わなきゃ、判らない ... といいなあ。
サーフェイサーに依る表面再処理要す。
手直しを終えれば、塗装作業だ。


塗 装


最初にタミヤの“ファイン・サーフェイサー(缶スプレー)”を吹付けた際、
パーツを水洗した後の水切り / 乾燥が不十分で、奥まった部分に水滴を残したまま
サーフェイサーをスプレーしてしまった。
水分が乾燥すれば、膜状に固まったサーフェイサーを剥がすのは容易なので、
そのまま放置しておけば良いだけの話なのだが、この失敗の為にサーフェイサーを重ねて
吹付ける羽目になり、普段よりもさらに厚ぼったい印象になってしまった。
さらに、上述の失敗に懲りておっかなびっくりで缶スプレーのサーフェイサーを2度吹きした結果、
サーフェイサーを剥がした奥まった部分に充分スプレーが届かなかった。
これ以上サーフェイサーの塗膜を厚くするわけにもいかないので、サーフェイサーを塗り残した部分には、
GSI-クレオスの“Mr.サーフェイサー 1,200”をエアブラシで吹付ける羽目に。
こんなことなら2度目のサーフェイサー吹きは、始めっからエアブラシで行えば良かった。

塗装箇所 使用塗料 備考
下地処理 “タミヤ・ファインサーフェイサー(グレー)”缶スプレーをそのまま吹きつけ
表面処理中に剥げた部分は“Mr.サーフェイサー 1,200”をエアブラシで吹きつけ
シャーシ & 砲塔
外装(下塗り)
Mr.Color #33
艶消し黒
エアブラシで塗装
スミ入れ
ウオッシング


参考資料 (順不同)


キットの説明書意外、特になし

主な組立作業は、キットの入手直後に終えていたのだが、
その後、3年ほど放置してしまった。
さほど良好ではない主要パーツの勘合、無神経な位置に現れる押出しピンの痕。
それらの手直しが億劫になったためだ。


タミヤ 1/35 M1A1 ビッグガン・エイブラムス

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